『来る』感想
ホラー映画はあまり見ないけど、せっかく見たので。
妻がホラー系好きなので自分も見るように。ホラーは自分は絶対にあかんとおもって避け続けてたけど、ちょっと見るようになってわかったのが、自分があかんのはホラーじゃなくてグロで。
ホラー単体なら全然大丈夫やった。
ということでちょくちょくそういったものを見るようになったけど相変わらず感想書いてなくてもったいないのでメモ。
嫌な奴の解像度
この作品は原作の小説があるが読んでいない。なので、原作由来なのか、映画の脚本や演出の方々ががんばったのか、演者の方々が上手なのか、全部そうなのか。
嫌な奴の解像度がものすごく高かった。
いや、本当に嫌な奴がこんなのかどうかはわからないが。見ている側が想像しうる限りの範囲で嫌な奴、の描写がうまかった。
大佐は陰のオタク中年だが、付き合い程度で話した陽のものたちのいや~なところ(想定、邪推を大いに含む)を大いに再現していたなあ。妻夫木くんの駄目な男親っぷりとか、ブロガー界隈のアレな感じとか。
親友役の民俗学の助教の心の奥底のいやな感じとか。
田舎のだめな感じとか。
何が怖いって、人間が一番怖いんちゃうかと思いかねないようなね。
お母さんは最後に正気を取り戻したね
妻夫木くんの奥さんの、黒木華さんがやってた役。
もう誰も助けてくれない感がすごくてとてもかわいそうだった。また胸の苦しくなる描写がうまいというか。
もう子どもがいらないと思ってしまうのも、仕方ないというかそうならざるを得ないというか。
忌み嫌っていた自分のお母さんみたいになっていっちゃったし、不倫もしちゃったけど。
ただ最後のレストランで、子どもの知紗ちゃんにごめんね、と言った。
そこは他の襲われてやられたやつらとは違ったんだよなあ。だからこそ、最後の最後までかわいそうなんよなー!!
たばこの手もちゃんと止めてね。
追い込まれると人の本性が出ると言われたりするけど、追い込まれるとどんな人でも余裕がなくなっちゃうというのが真と思うわけで。
あとお守り切り刻んでたのは奥さんが犯人って、ここはちょっと予想できた。偶然かもしれんが。
切り口がスパスパだったあたりから、これは人為的なものかなと。なんかその後呪いの力で割かれた(焼けた?)お守りとは破損の違いがあったのを見えやすくしていた感。
追っかけてくるやつについて
追っかけてくるやつは、実際にその人が言った言葉を繰り返して襲ってくる。そして本人が言われたくないような言葉を。多分改変も状況によってできてるような気がする。
ただ、一番最初にやられた後輩の人が言った言葉は、追っかけてくるやつに言わされたのかな。あと助教が最後に行った本心的なのも。言わされてるのか、心の奥底のどこかで思っていたのか。
なんか後者な気がするけど、人の心の気まぐれでファジーなところにもやもやがある気がする。
人の心は100%じゃない。本心でそんな事を思ってるか思ってないか、100か0じゃない感じが。
全く別の考えが心のなかに両方存在していて、状況によって割合が変動している感じがある。その心の脆い部分を突いてきてるような感じがした。
ただ奥さんがイクメンが死んで嬉しかったというのは、これは100%やったやろなあ。
結局『ミッション失敗』ですかね……
松たか子の邪魔をするから!!!!
これが痛みか、受け入れんと。じゃない!!
小松菜奈はあの仕事するにはあまりにも心が優しすぎる。
結局知紗ちゃんは連れて行かれなかったけど、これまた来るやろって話やし、おもっきりいろんな強キャラが犠牲になったし……。
これから襲われても、痛みを受け入れようねってことやろうか。痛みを受け入れたら弱い人間じゃなくなるからもう来ないって話になるんやろうか。
でも、奥さんは多分受け入れたっぽいんやけどやられたんよなあ。
となると、微妙にしくじった感がね。
あと、最後のオムライスのやつも、ケチャップが多いんよな。何かを暗示してる気がするけど、もうどうとでも考えられるから大佐は考えることをやめた……!
ホラーシーンの迫力と、嫌な奴等の生々しさにギャップ的なものを感じて、そこにも楽しさがあったなと。